• 庭でゆっくり過ごそうよ

ポール・スミザーのTool Shed便り#001 理想の森へとつづく庭 

ナチュラルガーデンズMOEGIは理想の森をイメージしてつくられているんだ。

森、と聞いてどんな景色を思い起こすかな?
理想的な森ってどんなだろう?

人工林

現在私たちが見ている森は、そのほとんどがスギやカラマツの人工林だ。戦後、単一樹種を植林したままの、遠くから眺めると大きな緑のかたまり。だけど、近づいてみると同じ種類、同じ年齢の木が密に生える、光が差さない真っ暗な場所、下草もほとんど生えていない。生き物の気配もない、なんだかちょっと気味が悪いところだ。そんな森の緑の表面積は意外と小さいね。

サバンナ

理想の森とは、人類が誕生し、進化する舞台となった、木立と草原が入り混じる、あのサバンナに近い場所だ。そこにはさまざまな種類のいろいろな年齢の木があり、朽ちた木のまわりには、若い木々が競うように伸びてきている。日陰、半日陰、日当たり、土壌の湿り気具合が複雑に入り組んだ環境には、植物が自分の好む条件を見極めて繁殖し、全体として豊かな植物相が形成されている。ここは緑の表面積が大きい。そこでは鳥たちが自由に飛び交い、動物たちは住処をつくって暮らし、狩りをし、子育てをする。

ナチュラルガーデンズMOEGIも最初は真っ暗な森に囲まれていた。数百本の樹木を間引いたり、切り戻すことで、風が通り抜ける明るい森に変えていった。そして、石を積み、土を盛ることで、限られた敷地の中にたくさんの異なる環境をつくっていった。その結果、多種多様な植物が育つ、生き物にとって魅力あるガーデンができたんだ。人も立体的にいろいろな角度からガーデンを楽しむことができる。年を追うごとに野鳥や、美しいチョウをはじめとする昆虫類が増え、ますます多様性の高い豊かな生態系になってきている。

理想の森

かつては動物たちの存在が森の循環を健全に維持してきたけれど、ガーデンでは庭師がそれを担っている。選択的に植物を剪定したり、減らしたり、増やしたり、運んだり。。。

萌木の村本部の脇に生えていた若い木は、成長すると20メートルにもなるハルニレだった。建物に近すぎるので、将来の大きな問題を避けるために切り戻した。その後、モミジの幼木が光を浴びて勢いよく成長してきたんだ。モミジならばその場所で大きくなっても大丈夫。小さいうちからその場所にふさわしい美しい樹形になるように剪定して見守っている。今では、モミジの足元にはギボウシやイカリソウの葉が心地よさげに揺れている。

理想の森とは、多くの生き物にとって幸せな住環境であり、常に動きがあり、変化に富んだ、たくさんの恵みがもたらされる健やかな場所。
そんな視点でナチュラルガーデンズMOEGIを歩くと、きっと面白いんじゃないかな。

さあ、庭でゆっくり過ごそうよ!

雨の日のガーデン